田舎者Yの日記

定年退職して農業に従事している者のブログ

(海外からスパムコメントが続きましたので、コメントは承認制にします。)

Ubuntu 23.10 の配布にトラブルがあった模様(ウクライナ戦争の影響か?)

 10月12日は Linux の人気ディストリビューションの一つ Ubuntu の半年に一度の新バージョンのリリース日だった。新バージョンは Ubuntu 23.10 Mantic Minotaur である。 私は10年以上 Ubuntu を愛用しているのだが、都合により12日にはダウンロードできず13日にダウンロードサイトを兼ねた Ubuntu.com にアクセスしたのだった。しかし、デスクトップ版へのリンクボタンをクリックしていくと元のページに戻ってしまう状態だった。「何かがおかしい。何となくそんな気がした」とエンドレスエイトキョンの心境になった(たとえが古すぎか)。ダウンロードできない。ダウンロードのためのリンクボタンが見当たらなかった。

 

 なにか Linux でトラブルが起こったときは英語で検索すると解決することが多い。"can't download ubuntu 23.10" のような適当な英語で検索すると OMG Ubuntu の記事が見つかり(先ほど見たら OMG Ubuntu の記事は私が見たときと内容が若干異なるようだ。おそらくダウンロードが復旧しためだろう)、Ubuntu 開発元による正式アナウンスにたどり着いた。

discourse.ubuntu.com

 私がそのときに見たのは "This post was updated on Oct 13, 2023 at 16:50 BST." の部分である。

A community contributor submitted offensive Ukrainian translations to a public, third party online service that we use to provide language support for the Ubuntu Desktop installer. Around three hours after the release of Ubuntu 23.10 this fact was brought to our attention and we immediately removed the affected images.

 

 "offensive Ukrainian translations" 「攻撃的なウクライナ語の翻訳」って何だよ!と思いつつ、リリースから3時間の内にそのなにかマズイ翻訳を含んだダウンロード・イメージは除去されたのね。それじゃ、修正されるまで待つしかないか…ということでその日はダウンロードを諦めたのだった。

 

 私はその後しばらく気がつかなかったのだが、そのうちにダウンロードは再開したようだ。私もダウンロードして、私のPCにインストールされた Ubuntu もアップグレードできた。(ダウンロードファイルは Ubuntu 23.10.1 と通常は長期サポートのポイントリリースに付ける .1 が付加されていた。ビックリである。)


 我が家のPCも Ubuntu 23.10 に無事アップグレードできたあとにウェブ検索していたら以下の記事をみつけたのだった。

www.bleepingcomputer.com

 「攻撃的なウクライナ語の翻訳」の部分についてのリンクも掲載されていた。

github.comコメントを読むと非常に下品な、言うなれば便所の落書きのような言葉が挿入されていたようだ。

 

 上の記事中や Ubuntu の開発チームはもちろん指摘をしていないが、これは明らかにウクライナ戦争の影響だろう。そしてロシア系あるいはロシアを支持する人物や団体による仕業ではないかと私は思う。
 ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めたとき、まさか自分が愛用する Linux で今回のようなトラブルが発生するとは夢にも思わなかった。戦争の影響(そう断言して間違いはないだろう)の大きさを改めて実感した。

 

 最後の BLEEPING COMPUTER の記事にはひどい翻訳が紛れ込んでしまっているのだからマルウェアが紛れ込む可能性は本当になかったのか、などの疑問が呈されているようだ。また英語以外のベータテストが十分に行われていたのかという疑問も X(旧Twitter)で書かれていたようなことが紹介されている。これはUbuntuの開発母体である Canonical への批判の言葉なのだろうが、非英語である日本語を話す私にもちょっと気になる発言だ。

 私は Ubuntu を使い始めたときは手持ちのノートPCにベータ版をインストールして動作確認の結果を Ubuntu のフォーラムに報告したりしていた。最近は Ubuntu のリリースもすっかり安定してきたので、そのようなことはしてこなかったが、次期バージョンの Ubuntu 24.04 ではベータ版から実機にインストールして動作確認してみようかなと思ったのであった。

【追記】

 この件に関して Ubuntu Japanese Team の吉田史さんが詳細な記事を書かれてた。

gihyo.jp

この問題はあくまでインストーラーの表示上の問題で、問題のあるイメージを利用することそのものにはヘイトスピーチを目にしてしまうということを除き)セキュリティ上の問題はありません。また、この種の混入を防ぐためのセーフガードの仕組みが別途検討されています。

なるほど。まずはひと安心である。