田舎者Yの日記

定年退職して農業に従事している者のブログ

(海外からスパムコメントが続きましたので、コメントは承認制にします。)

曲ったキュウリ

先日わが家の食卓に曲ったキュウリが登場した。義父が自分のうちで食べる分として栽培したものだった。いわゆるブルームといわれる白い粉のようなものがトゲトゲした表面に付いた昔風のキュウリだった。(4才の娘が痛いといって持てないほどドゲがはっきりでた表面だった) 「あ、そういえばキュウリってこういう味だったよな…」と思い出させるような美味しさが口一杯に広がった。

農家が自分の家で消費するために出荷用に少量の別種の野菜を栽培するということは極当たりまえのように行なわれることである。私はこれが田舎暮らしの醍醐味の一つであると思っている。
もちろん都会でも、自宅の庭に畑を作ったり、ベランダにプランターなどを置いて野菜などを栽培している人も多いであろう。これは何も「田舎の特権」ではないのかもしれない。とにかく自分が育てた野菜を取って来てその場ですぐ食するということは本当はこの上ない贅沢なのではないだろうか。


はっきり言って出荷用の野菜のデキが一番良い。自宅で作る自分の家用の野菜はデキが悪い。農薬などをあまり使わないからである。上記のキュウリはまあまあのデキだったが、トマトは病気にやられて表面が変形してしまった。それでも農薬は使ってないということである程度納得できるし、つい何分か前までには畑で生きていたものだから味は良い。
都会では有機野菜が定着しつつあると思う。よく言われることではあるが、農産物も市場で取り引きされる商品であるから消費者の要求を無視しての生産はありえない。なぜ市場から昔ながらのキュウリが姿を消したかといえば消費者がそれを望まなかったという側面があるからである。(もちろん単純にそれだけではないが) 皆が変形していても無農薬のものが良いと望めばそういう野菜が流通し始める。すでに一部ではその流れが定着していると私は思う。


くり返し書くが、何と言っても出荷用の野菜が一番良い。農家の生活がかかっている作物ですから(^^; おそらく漁村でも同様であろう。したがって都会の市場には全国各地から美味しい食材が集まってくる。高く買ってくれるお客さんの所に良いものは集まるのである。それが経済活動ってものだろう。

意外に野菜供給地のスーパーにはそれほど良い野菜が並ばない。良いものは都会へ向け出荷してしまうからである。それでも上記のように農家にも楽しみがないわけではない。それはレストランの奥の厨房で料理人達が秘かに楽しむ、まかない料理のようなものであろうか。