ようやく我が家の周辺でも桜が咲きそろい満開を迎えようとしている。もちろん桜の花を見ると嬉しい気持ちが湧くのだが、半面私は非常に憂鬱な気持ちになる。
春の桜は、私にとっては日曜の晩に見る「サザエさん」と同じようなものであるからである。桜も間もなく散ってしまい、あとまたほぼ一年間、葉だけの地味な木を見なければならないことを思うと憂鬱になる。
昔習った『雨月物語』の「菊花の約」の冒頭は以下のようなものだ。
青々たる春の柳、家園に種ることなかれ。交りは輕薄の人と結ぶことなかれ。楊柳茂りやすくとも、秋の初風の吹くに耐へめや。
私は苗字に「柳」の字があるので、この冒頭の文には少々頭に来た。柳はたしかに秋になれば枯れてしまうがしばらくは青々している。私にとっては桜、特にソメイヨシノのほうがよっぽど「輕薄」に映る。
私はどちらかといえば花もちのよい八重桜のほうが好きである。私の実家に近くには何本か植えられていた。しかしいつの間にか伐採され、かわりにソメイヨシノが植えられていた。orz
私のような趣向の持ち主は少数派なのだろうな。