田舎者Yの日記

定年退職して農業に従事している者のブログ

(海外からスパムコメントが続きましたので、しばらくコメントは承認制にします。)

今更ながら『下流社会』を読んでみた

 今更ながら2005年に発行された三浦展氏の『下流社会』を読んだ。先日、近所のブックオフで買ったものだ。(ブックオフを愛用する私は下流民!?)

 素直に面白いと思った。ある小節のタイトルである「中流化の『1955年体制』から階層化の『2005年体制』へ」などはうまくできたコピーだと思う。

 クルマ好きな私としてはp.39の

思えばトヨタクラウンの発表は1955年である。55年体制の始まりとともにクラウンは登場し、その後、カローラ、コロナ、そしていつかはクラウンという典型的な階層上昇型消費モデルを提示することでトヨタはフルラインナップ型の大企業へと成長した。(中略)
 そのトヨタが「一部の富裕層」に向けてレクサスを投入する。それはきっと「いつかはレクサス」という形では売られないであろう。それが2005年体制というものなのである。

という一文に惹かれてしまう。その通りだと思う。


 ところで『下流社会』に関連して、以下のページの被はてブ数が多いことがわかる。
大学教員の日常・非日常:「下流社会」を読む前に

 あぁ、なるほど。『下流社会』は統計による分析手法としてはダメダメなのですね。面白がって読んでいただけにちょっと残念。

 個人的には、手法は「詐欺的」で恣意的に結論に導かれているのかもしれないのだが、書かれていることはそれほど的外れではないのでは、とも思ってしまう。


 「おわりに」のところで階層の固定化を防ぐために筆者なりに提言をまとめているのだが、その多くは教育、それも高等教育(大学)に関することであるのも興味深い。やはり世の中を長い目で見て変えていくのは「教育」なのですね、きっと。

 既に引退された職場の先輩に農業高校出身の方がいた。苦学して都内の有名私大に入学・卒業されたのだが、その方は「大学入試ほど機会平等を具現化しているものはない、と思ってた」と常々語っておられた。50年代から60年代前半にかけては農業高校からでも受験勉強をかなり頑張ればいわゆる六大学レベルの大学へ入学することも可能であった、と聞く。今はどうだろう。ちょっと無理のような気がする。


 ちなみにうちの近所の農業高校では昨年以下のようなことも起こった。記事からは読み取れないが、当日の熊谷地方は暑かった。私の知る関係者の話によると同生徒達は筋肉冷却用のスプレーで部屋を冷やそうとしていたらしい。いやはやなんとも…。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/41898

 平成18年7月、埼玉県熊谷市大原の県立熊谷農業高校の部室で爆発が起き、2年の男子生徒5人が重傷を負った事故で、熊谷署は5日、重過失傷害の疑いで、元生徒1人を書類送検する。

 調べでは、元生徒は同年7月14日午前10時40分ごろ、同校のバスケットボール部の部室で、筋肉などを冷やすための冷却スプレーを使用後、たばこを吸おうとライターを着火。充満したガスを爆発させ、4人に顔などのやけどで重傷を負わせた疑い。元生徒も重傷を負った。

 部室は約10平方メートルで、窓ガラスやドアは閉め切られた状態だった。

 同署はガスが充満した室内で着火することの危険性を元生徒は認識できたはずと判断した。

 いや絶対にわからなかったんですよ、おまわりさん。書類送検するための方便としてのコメントでしょうけど、それくらい今の公教育は崩(ry


(追記)
 私の先輩の例は、当時は成績が優秀な者も農家の長男ということで農学校(<と地元では呼ばれる)へ行かされた、ということかもしれない。いや、行ければ良いほうで、同年代の方には中卒者も少なくない。
 一部の公立高校が悲惨な状況になっているのは事実だが…。