2007年問題
2007年はいろいろな意味で節目の年なのかもしれない。団塊の世代の大量退職がはじまったことで注目を集めているが、私が知っている若い人たちの就職も決まり、雇用状況が安定してきたのは嬉しい限りである。
私は公的な職場で働いているのだが、毎月公的各種調査が回ってくる。今までの調査だと職員の年齢構成などは60歳が上限だったのだが、実はうちの職場には結構60歳以上の人たちがいる。(したがって依頼主に、どうやって答えろちゅーんじゃヴォケッ、とつっこみを入れる)退職された方々を臨時的に再雇用しているからだが、これはどの職場でも同じではないだろうか。そのうち職場に関する調査の年齢構成は上限がなくなるのだろうな…(笑
2007年は高校卒業予定者数が大学入学募集総定員数を下回る年でもある。つまり選り好みしなければ「大学全入」である。当然受験生にそっぽを向かれた大学は経営が破綻するであろう。(すでにつぶれた大学もある。)大学にとっては冬の時代だ。
さぞかし大学入試は簡単になっているのだろう、と思うと豈図らんや、私たちの頃と変わっていない。英語などは長文化傾向にあるそうで、かえって難しくなっているとも思える。
公教育でゆとりが叫ばれ土曜日が休日化するなかでのこの傾向である。(小中の先生方は知っているのかな)いきおい世間の親たちは中高一貫の私立学校へ期待を寄せるようになる。
今日も長い前振りだったw 今月、私が珍しく数学科卒だということを聞きつけて私立高校に通う現役高校生の「数学がわからない」という相談を2件受けてしまった。(正直私も数学がわからないww)
私たちの世代はブルバキズムというか「数学の現代化」の影響をもろに受けていた。集合とか写像とかに力を入れて教えられていたと思う。古い世代の先生方には不評のようであったが、学生ながら数学の教科書に壮大なストーリー性が感じられ個人的には好きであった。
現行の指導要領は最悪である(と個人的に思う)。数学はブツ切れ状態。高校数学はI、II、III、A、B、Cの訳のわからない分野に分断されてしまった。私立高校で何を教えているのか個人的に興味があったのだが、今月2件の相談があり徐々にわかってきた。
私立高校の先生も苦労されているようだが、概ね昔風の教科書を使っているようである。でも世の受験参考書は新教育課程用に作られたものがほとんどだから自習教材の少ない私立校生は苦労しているようである。
本来ならば、もうちょっと大学入試を知識の理解を問うようなものから論述を主体とするようなものにシフトしないといけないのかもしれない。科挙の伝統の残る東アジアでは難しいのだろうか。(ニュージーランドには国立大が6つくらいしかないと同僚のDさんが言っていた。彼はそのうちの一つビクトリア大学出身だそうだが、大学入試で苦労したって話は聞かない。)
戦後、ホグベンという人の書いた『百万人の数学』などという数学の本がベストセラーになったそうである。これだけお受験が熱心な時代になったのに科学的なベストセラーが現れないのが何とも皮肉である。
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