ちょうど2日前のことだ。メディアでは以下のようなニュースが報道されていた。
野菜高騰、出荷前倒し・規格外品の販売要請へ 農水省が対策会議 - MSN産経ニュース
猛暑の影響などで野菜価格が高騰していることを受け、農林水産省は15日、「野菜出荷安定対策本部」の初会合を開き、農協や市場関係者、スーパーなどの小売業者に出荷の前倒しや規格外野菜の放出などの協力を要請する方針を確認した。
私は専業農家である義理の父と同居しているのだが、ちょうどこの日「B品を出荷しないように」と地域の農協から回覧がまわってきた。B品とは規格外野菜のことである。
私の住む地域は農家と非農家が混在している地域なのだが、今の時期はブロッコリーを出荷が始まったところだ。ところがこの夏の猛暑と小雨のため野菜のデキが非常に悪い。規格をクリアしたA品がかなり少ない。そこで普段はほとんど商品価値のないB品を、野菜が品薄だろうという目論見もあって、捨てずに出荷していたのだが、とうとう市場から待てがかかってしまったのだ。
なぜ野菜が品薄なのに、規格外品でも欲しいくらいなのに、市場から出荷するなと言われてしまったか…。それはブロッコリーという野菜の特殊性による。
ブロッコリーはアブラナ科に属する。(義父は旧称の十字花科と呼ぶ。最初何のこと言っているのか全然わからなかった。)食する部分は花である。ちなみに放っておくとこうなる。
花なので少しでも気温が上がると咲き始めてしまい、一旦開花の兆候が見られるとどんどん事態が進んでしまい、品質が急激に悪くなってしまう。また花なので柔らかく腐りやすい。成分に硫化物を含んでいるそうで腐ると悪臭を発する。そこで市場から待ったがかかったわけである。
私の住む深谷市は深谷ネギで知られた地である。しかし義父はネギを作らない。ネギなどの日持ちする野菜は価格が高騰すると海外から輸入されすぐに価格が安定する。(最近は食品事故などの影響で中国からの輸入が減少しているので以前のようにすぐ下がることはなくなったが、それでも昔ほど価格が高騰することはなくなった。)
輸入品を警戒してそれほど日持ちがしない野菜を作ってきたのだが、それがかえって今回は裏目に出ている、といったところか。
すっかり気温は下がり、8月下旬に作付けた野菜がそろそろ出荷されてくる頃なので、徐々に野菜の価格は下降するであろう。
しかし、政府の言うようには簡単にコントロールできないのが農産品だということも、一般の消費者も覚えておいてほしいものだ。