1991年製 BMW R100GS に乗っている。何回もコケたり事故ったりしているので車体にガタがきているが部品が入手可能なのでまだ治しながら乗っている。こういうところは BMW って本当に凄いなと感心する。「西ドイツ」製ですよ!
クラッチケーブルが運転中に切れるという体験を私は4,5回は経験している。前に乗っていた Honda のバイクの記憶やらとゴッチャになってしまっているのだが、たしかこの R100GS でも2回はケーブルの断絶を経験しているはず。奇跡的に自宅のそばだったり、友人宅のそばだったりして修理できてきた。ちなみにクラッチケーブルが切れても何とかバイクを運転する方法はある。エンジン回転数を適切に合わせてギアを無理やり蹴り入れる方法だ。ローギアは減速比が大きいのでスタート時は2速で発信する。エンジンやクラッチなどに負担がかるので普段はやらないほうがよいだろう。(オートレーサーはクラッチを切らないと聞いたことはある)
そんなこともあって私はツーリングに行くときは予備のクラッチケーブルをいつもパニア(サイドバッグ)に入れて出かける。昨年その予備のケーブルが見当たらなくなりクラッチケーブルを買い足したのだったが、しばらくしてなくしたと思っていたケーブルを納屋の片隅で見つけた。どうもパニアの中身を整理したときに置きっぱなしにしてしまったらしい。つまり予備のケーブルが二本、しかも最後の交換から10年近く時間がたっている。また切れるのでは、という「恐怖心」もあって自分で交換してみた。
まず感じたのは、切れていないケーブルを外すのは難しいということ。水平対向エンジンの後端にあるクラッチのリンクとハンドル側のクラッチレバーの側で張力をかけているのでなかなか外れない。
クラッチレバーの遊び調整ねじ(アジャスター・ナット)を思いっきりしめ込んで(遊びを大きくして)なんとかケーブルを動かせる状態にすることができた。続けてケーブル先端の、クラッチレバーにケーブルを固定するための小さな糸巻き状の金属製部品(俗称タイコ)を外して、なんとかケーブルを取り出せることができた。あとは新しいケーブルの取り付けなのだが、これがなかなか付けられなかった。慣れている方なら30分もかからないはずだが、私は1時間以上かけてようやく作業を終えることができた。
エンジン後端のリンクにケーブルを引っかけるとクラッチレバーのタイコのセットができず、前側のクラッチレバーの方をセットするとエンジン後端側がうまく引っかけられない、ということを繰り返した。結局、前側のクラッチレバー側のタイコだけセットし、レバーには取り付けない状態でエンジン下側のワイヤーが通る穴にセットし、
エンジン後端のリンクにセットしてから最後にアジャスター・ナットを一番しめこんだ、遊びが大きい状態でタイコをクラッチレバーにセットする、というやり方でセットすることができた。(と、自分が忘れたときのためにここにメモしておく)
作業中、なんとかケーブルの張力を緩めようとエンジン後端レバーに木槌を突っ込んでおいた。こういうものもツーリングに持って行かないと非常時のケーブル交換で困るだろうか、と考えたりした。
ネットで検索するとクラッチレバー付近でケーブルを包むフェルトを捨ててしまってる中古車もあるようだ。これも大事なパーツなので組忘れずに。
最初にも書いたとおり、私はツーリング途中でケーブルが切れたときのためにケーブルの予備をいつも持って出かけているのだが、旅先で交換できる自信がすっかりなくなってしまった。
しかし交換したケーブルをよくみると(おそらく十年くらい前のパーツ)ほとんど痛んでいなかった。この頃からケーブルの内部にはテフロン加工がされて滑りがよくなっている、と正規ディーラーの店長から聞いたことがある。これなら旅先でケーブル交換なんて事態にも今後はもうならないかもしれない。その前に私の体の方が先にガタがきてしまいそうだ。
よくバイク乗りはクラッチケーブルのアウターとインナーケーブルの隙間にオイルを注入する方がいる(ある方法で比較的簡単に注入できる)が、最近の BMW のパーツではクラッチケーブルにオイル注入はしない方が良いそうである。かえってケーブルの性能を劣化させてしまうことになるそうだ。私の記事を参考にケーブル交換する人は少ないかもしれないが、ご注意申し上げる。