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田舎者Yの日記

片田舎のバイク乗り・Linuxユーザ、つまり変わり者のブログ

花を食べる野菜

 山形には「もってのほか」という食用菊がある。最近ではエディブル・フラワーといって花そのものが食べられる観賞用花を栽培する方もいらっしゃるようだ。おそらく多くの方は意識されていないかもしれないが食べられる部分が「花」という野菜がある。うちで出荷しているブロッコリーがそうだ。正確には花というよりは花芽を食べる。

 畑でブロッコリー栽培していると全てが出荷できるわけではない。形が小さかったり変形していると収穫しない。よその農家では大きくなるまで待ったり、多少形が悪くてもB品として出荷しているようだが、うちは借りている農地が広いので取り残して次の畑にとりかからないと出荷が間に合わなくなってしまう。そういう放っておかれたブロッコリーはそのうちに小ぶりの可憐な花を付ける。

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 ブロッコリーアブラナ科に属する。ナノハナの仲間だ。花が咲くとよくわかる。菜の花そっくり。というか元々ナノハナは「菜」の花なのだから、これはブロッコリーという「菜」の花だ。ちなみに大根にも菜の花が咲くのだが、色が白いので白い菜の花ともいうようだ。

 専業農家の義父と同居を始めた頃、「ブロッコリーはジュウジカなんだよ」という話を聞いた。キリスト教と関係があるのかと思ったら、昔はアブラナ科を十字花科(Cruciferae)といったようだ。花弁が4つあり満開になると十字に見えるかららしい。それから「最近の種はみなF1なんだよ」とも。
 自動車レースのF1ではなく「交配種」ということだ。ハイブリッドともいうらしいが性質の違う種類を掛けあわせた一代雑種ということだ。メンデルの法則(優性の法則)により優性の形質が表現形として出現するというやつだ。実を言うと私は高校時代、生物を選択しなかったのでよくわからないのだが、とにかく最近の農業は生物学を抜きにしては語れない。
 F1の普及により農家は安定して収穫できるようになったのだが、逆に言うと毎年種を買わなければならなくなってしまった。交配第2世代(F2)以降は劣性な形質が現れるからだ。うちの近所はネギの産地で、今でも晩春にネギ坊主を作って種を採るウチも見かけるが、それもすっかり少数派になってしまったようだ。(関東地方でよくみられる長ネギは放っておくと穂先に玉のようなネギボウスができて、そこから種が採れる)

 F1の種では性質が均質のはずだが、おそらくは交配のミスだろうが、形が大きく異なるブロッコリーが生えることがある(滅多には起こらないことだが)。

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 これをうちの近所では異株(いかぶ)と呼んでいる。異株は一般的には雌雄異株(しゆういしゅ)といって雌雄の区別のある植物のことを指すようだが、ここでいう異株は出荷できない作物のことだ。大概は捨ててしまうのだが、以前食べてみたことがある。味はまるでカリフラワーである。ブロッコリーもカリフラワーも調べてみると元々はキャベツの変種なので似たものができても不思議はないのかもしれない。

 

 ちなみにキャベツもアブラナ科の代表的な野菜だ。形が似ているレタスはキク科。これが本当に不思議な感じがしてしてならない。しかしよく味わってみるとレタスは「もってのほか」のような爽やかな苦味がしてやはりキク科なんだな、と思えてしまうし、逆にキャベツやブロッコリーは加熱するとほんのりと甘みが出てきて、やはりこちらも何となく似ている感じがする。その点カリフラワーは味、香りがあまりはっきりしない感じもする。最近ではカリフラワーの作付面積がすっかり減少してしまったようだが、こういうところにも原因があるのかもしれない。

 

 ところで「薹(とう)が立つ」という言葉がある。最近は年寄りしか使わない表現かもしれないが、若い盛りを過ぎて歳をくってきた様を指したりする。あまり好ましい表現ではないかもしれない。元々は植物などでみずみずしい若葉から花芽が出て固くなっていく様から来ているのだろうが、キャベツも見事な薹が立つ。うちでは栽培していないので画像はないのだが、固くしまった玉のような葉が開いて文字通り立派な薹(花軸)がニョキニョキ伸びて花が咲く。本当に硬そうで食べられそうにもない状態になる。


 私自身も残念ながら薹が立ってきたのかな、と畑の取り残しを眺めながら思った。