田舎者Yの日記

定年退職して農業に従事している者のブログ

(海外からスパムコメントが続きましたので、コメントは承認制にします。)

埼玉県民がみた映画「翔んで埼玉」

はてなブックマークでも事あるごとに埼玉県民を標榜している私なので、映画「翔んで埼玉」は既にみている。埼玉県民から映画の雑感というか感想を書いてみようと思う。物語の核心に触れるようなネタバレはしないようにしたいが、勢いに任せて書いているので、うっかりネタバレと受け取られるようなことも書いてしまうかもしれないので、気になる方はこの記事を読まずに映画館に行かれることをお勧めする。

 

 

まさかこんなに流行るとは

 郷里の英雄(?)熊谷出身のブラザートムさんが埼玉県知事に「ディスってごめんなさい」とワビを入れるところから始まったこの映画のキャンペーンだったので、埼玉県民としては、これは見に行くしかないだろうと思ったのがひと月くらい前のことだった。

www.tokyo-np.co.jp

 とはいっても「翔んで埼玉」といえば2015年に埼玉の書店にズラッと並んだ「埼玉県民にはそこらの草でも食わせておけ!」というキャチコピーがデカデカと表示された本が私には思い出された。魔夜先生のパタリロ!とかは好きだったのだが、ちょっとシャレがキツイ感じがして正直私はそのときは原作本を読む気がしなかった。

 

このマンガがすごい! comics 翔んで埼玉 (Konomanga ga Sugoi!COMICS)
 

  それでも、あのNack5の ’One More Pint!' のパーソナリティのブラザートムさんが宣伝しているんじゃ見ないわけにはいかないなと思っていた矢先の埼玉での驚異的な興行成績だった。

eiga.com

 実際に映画を見て、長年(特に関東近県から)バカにされてきた埼玉県民の留飲を下げる痛快な映画だったので、このヒットはわからないでもない。しかし埼玉県民が喜んでみるのはわかる。なぜなら映画をみればわかるが、これは自虐ギャグが大量に並んではいるが実は埼玉礼賛の映画だ。それでもなお不思議なのは、最近は全国ヒットのような様相を呈してきていることだ。埼玉以外、関東圏以外の人がみてもこの映画は面白いのだろうか?正直言って埼玉県民からも「埼玉の自虐ネタがオンパレードの映画を見て面白いですか?」と聞きたくなるくらいだ。

 

ひょっとしたら都会対地方の構図がウケたのかも

  的を外しているかもしれないが、この映画は、無謀にも大都会東京にいつもバカにされている埼玉が挑戦していくというストーリーだからこそ全国規模で指示されたのかもしれない。もちろん毎分ごとに笑えるエピソードが散りばめられているのだが、そのほとんどは関東ローカルなネタだ。単に関東都県同士のウチワの対立というだけではこれほどのヒットに繋がらなかったんじゃないだろうか。いつもバカにされている埼玉がある意味「地方の代表として」都会に挑戦していくという話の主軸が全国的にウケたのではないだろうか。

 またついでに書けば、いつもバラバラな埼玉県内も徐々にまとまり、近県との関係も修復しながら、ハッピーエンド(?)に向かって収束していくというストーリーも娯楽映画として安心してみてられ、ある種のカタルシスを得られるのでヒットしたのかもしれない。個人的に勝手にそう思っているだけですけど。


やはりこの映画を見るなら埼玉県内

 私の友人で横浜でこの映画をみてきた者がいる。「宿敵」神奈川県の映画館ですよw 彼がいうには埼玉県と笑うポイントが違うとのことだった。彼が一番残念だったのは十万石饅頭のところで横浜では誰も笑わなかったということだったそうだ。そりゃそうだろう。あのローカルCMはほとんど神奈川県内では(いや埼玉以外では)知られていないだろう。ちなみに私がみた埼玉県北部の映画館では、尺八の音が流れた途端場内爆笑だった。やはりこの映画をみるなら埼玉県内ではないだろうか。

 ちなみに詳しくは書かないが映画のどこかで十万石饅頭のCMが流れるはずである。

www.youtube.com

特徴のない埼玉が団結してほしい

 埼玉県は律令国としては武蔵国としてかつては東京都一緒だったのだが、廃藩置県で埼玉県が成立してからは、これといった中核都市もなく、特徴もなく、県内はバラバラといえよう。だいたい浦和、与野、大宮が合併したときに最初は「埼玉市」とする案であったのに諸般の事情から平仮名の「さいたま市」になったことからして、その団結力の無さを象徴しているといえる。

 私は埼玉県北部で生まれたが県内を転居したことがある。埼玉県内は、JR、東武、西武、鉄道路線が異なると文化圏が著しく異なり、お互いに無関心だということを身をもって体験した。私は学生時代に西川口の某所でバイトをしたことがあるのだが、県内の所沢、浦和、熊谷等々各地から学生が集まっていたのでバイト仲間の飲み会はいつも池袋か新宿だった。すべての交通網が東京に向かい、東西方向の交流がほとんどない。まさにこの映画で描かれた通りの様子なのだ。

 でもこの映画をみたあと仲間たちと「翔んで埼玉、よかったねー」と話し合うにつれて、ひょっとしたらこの映画をきっかけに徐々に埼玉県内の様子も変わっていくのではないかなと思っている。埼玉もマンザラ捨てたものではない、やはり特徴がないのが最大の特徴なのかもしれないな、とも。

 

 今度写真を撮られるときは埼玉ポーズをとってみようと思っている。