田舎者Yの日記

定年退職して農業に従事している者のブログ

(海外からスパムコメントが続きましたので、しばらくコメントは承認制にします。)

やたいち

 歳をとっても毎日のように今まで知らなかったことに気がつく。自分の不明を恥じるとともに日々勉強だとの思いも新たになる。自分の場合は死ぬまで勉強しても得るものは大したことはないとは思うが。


 今日、「やたいち」なる言葉を知った。どうも居酒屋などで豆腐と酒を注文することのようだ。「やた」は豆腐の異名、「いち」は酒一合とも銚子一本とも、とにかくお酒のことだ。検索してみるとやはりこういう名前の居酒屋があるようだ。


 「やたいち」は漢字では弥太一と書くようだ。弥太とは岡部六弥太忠澄(おかべ ろくやた ただすみ)のこと。私は現在、埼玉県深谷市に住んでいる。数年前の合併以前は岡部町という町名だったところだ。岡部六弥太は郷土が産んだ武将である。源平合戦で源氏方について活躍した。その最期にはちょっとしたドラマがある。たしか歌舞伎などにも登場する人物だと思う。

 ちなみに埼玉県北部は鎌倉期の「武蔵七党」に由来する地名が多い。武蔵七党の名が領地に残ったのだろう。


 「やた」はとうふの異名。

 地元の私はやっと気がついた。やた → 弥太 → 岡部六弥太 → おかべ → とうふ である。

 言わずもがなだが、京都などでは豆腐のことを「おかべ」という。元来は宮中の女房言葉から来ているとのこと。豆腐の真っ白な様を壁のように白いということで御壁(おかべ)といったことに由来するとのこと。

 昔のシャレは奥が深いな…、などと思った。


 大した記事ではないのだが、一応 Wikipedia でチェックしていたら、岡部六弥太が、討ち取った平忠度を弔うために塚を立てた清心寺が旧岡部町にある、という記述をみかけた。地元のものなら皆知っているが、清心寺は深谷市萱場にあり、深谷市ができたころから深谷市だ、一度も岡部町にあったことはない。

 当然なのだが、Wikipedia を全部信じてはいけないな、とも思った一日であった。


 結局のところ、今日新たに知ったことは、またしても大したことではなかったのだが、それにしても、明日の晩あたりは「やたいち」にありつきたいものだ。