田舎者Yの日記

定年退職して農業に従事している者のブログ

(海外からスパムコメントが続きましたので、コメントは承認制にします。)

ポジティブリスト

 最近徐々に野菜の値段が上がって来ているようだ。ここ関東では梅雨時の大雨の被害は少なかったようだが、日照不足だったし、ここへきて雨が少なかったりして収穫量が落ちているようだ。他の地域では大雨の被害などもあり、全国的に野菜の収穫量が減っていることが価格高騰の要因のようだ。

 私はこれに加え今年から(だと思う)導入されたポジティブリストの影響もあるのではないかと思っている。ポジティブリストは作物に使用できる農薬の種類と量を厳密に管理しようという制度である。今春、義父からいきなり「今度ポジテイブリストっていうのが始まるそうだが、ポジテイブって何?」と聞かれたことがあった。(あとでポジテイブとはポジティブのことと判明)

 例えば私が子どもの頃、水田で大規模にペリコプターによる農薬散布なんてものがあった。現在ではほとんど見られない。というのも稲作用の農薬が飛散して他の農作物にまでかかってしまうとポジティブリストにない違反農薬としてチェックされてしまう可能性があるからだ。使用可能な農薬は作物の種類によって違う。だから現在では、農家は農薬の散布にも細心の注意を払うのだ。(無線小型ヘリコプターによる小規模な農薬散布は現在も行われている地域があるらしい)


 この新しく導入されたポジティブリストにより、どうやら大陸方面からの輸入が減少しているらしい。

 以前、天候不順になると「バカ値」と言われる高騰した相場が来た。それが近年ではほとんどなかった。それは大陸方面から緊急輸入が行われるからだ。当初は海外の野菜も品質が悪かったが、現在では国産の野菜とほとんど見分けがつかないくらいに改良された。義父(現役農家)に言わせると、日本の商社の指導のせいではないかということだ。国内市場を知りつくしたものではないとなかなか日本好みの野菜を適時に供給することはできない、というのだ。

 おそらく義父の予想はそれほど外れてはいないと思うのだが、今年はどうやら勝手が少し違うようだ。義父の推論では、ポジティブリスト制度により使用農薬が制限された結果、輸入量が減り野菜価格の高値が来たのだというのだ。

 真相はともかく、都会の消費者の皆様には(…って私は農家を代弁できる立場ではないがw)野菜の収穫量が安定するまでもうしばらく御辛抱いただきたい。どの地方の農家も安心して食べられる野菜の供給に苦心しているところであろうから。


 ポジティブリストの導入で「面倒になった」と感じる地元農家も少なくないようだ。しかしこれで消費者の安全がより一層確保されるのはもちろん、「長い目でみて国内農家の助けになっている」と義父は昨晩も晩酌時に語るのであった。