小池龍之介著『平常心のレッスン』を読んだ。自分は短気ですぐに平常心を失ってしまう、と思っているので本屋の書棚でタイトルを見た時にすぐに買ってみた。平常心を失わないためのいくつかのヒントを見つけることができたと思う。
- 作者: 小池龍之介
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2011/10/13
- メディア: 新書
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著者は僧侶。東京と山口のお寺の住職をされている方である。東大卒。僧侶としては珍しいのではないか。この本では難しい仏教概念を優しい言葉で解説してくれている。
5章からなる構成で各章の最後にイラスト入りで章の内容をまとめてくれている。記憶に残る構成だ。本書の各章の題名と章末のまとめのキーワードを紹介する。
- なぜ、平常心でいられないのか
ー「プライド=慢 とのつき合い方」 - 捨て置く
- 心の動きをモニタリングする
- あるがままの心を受け容れる
- 自分の「慢」を知り戒める
- なぜ、人を嫌いになるのか?
ー仕事、友人、家族との疲れないつき合い方 - 支配欲に気づく
- 相手をそのまま受け容れる
- 会社(仕事)の理不尽さは諦めて受け容れる
- 喜怒哀楽を、お釈迦さまはどう教えているのか
ー仏道式・感情コントロール - 怒ると必ず報いがあると知る/怒っているときこそ心をモニタリング
- 快と不快はコインの裏表と知る/「もっともっと」というときは、心をモニタリング
- 人は記憶に呪われている
- 生老病死に平常心で臨む
ー死を受け容れるレッスン - 「死にたくない」生存欲求が苦しみの源泉
- 人が死ぬとき連れて行くのは業だけ
- 一日に一回は死を受け容れるレッスンをする
- 平常心を身につけるための日々の習慣
ー焦らず、諦めず
平常心のレッスンで死を受け容れるレッスンの話が出てくるとは思わなかったが、そういうものかもしれない。生はまさに死に向かう旅の途中でもある。平常心を失わないということは死の瞬間までそうだと考えれば納得するか。
そういえばスティーブ・ジョブズも2005年のスタンフォード大での有名なスピーチで「今日が人生最期の日だったら」と考えると言っていた。彼は禅に傾倒した方だから僧侶である小池氏の説くところと共通点があっても不思議はないのかもしれない。
5章では一日10分程度瞑想すること(電車の中でもよい)、食べるときにながら食いをやめてよく咀嚼すること、畑仕事や歩くことなど作業をすることなどを解説している。私も瞑想と咀嚼を気にかけて実行している(瞑想はなかなかできないのだが)。少しづつではあるがカッとなる瞬間が減ってきたような気もする。焦らず、諦めず続けていきたい。