毎日のように専業農家である義理の父と晩酌を酌み交わしている。酔っ払って聞く話なので義父の話の意図を正しく聞き取っていないかもしれないが、現役の専業農家の話を聞いていて、暗澹たる思いに駆られた。
現在、政府が実施しようとしている米作農家に対する戸別所得補償制度は、耕作面積に応じて配られると聞いていたのだが、田畑が耕作されていようがいまいが関係なく給付されるとのこと。義父が言うのには一反あたり1万円の補助金が支給されるならば、単に土地を貸しているだけの農家は耕作者に対して土地を返すように要求する場合も少なくないだろう、とのことであった。耕作者の中には小作料をそれほど払っていない者もいると聞く。土地を貸す側も田畑が荒れるよりは作物を作ってもらったほうが良いと貸しているものも少なくないとか。しかし補助金がもらえるのなら土地を返してもらって放っておくという者も出てくるだろう、との話。
あわせて大豆などの転作作物に助成金を出して、営農集団を育てて土地の集約利用を進める政策も停止されるとか。「農家のやる気がますますなくなる」と義父は話していた。「耕作放棄地も増えるだろう」とも。
また若い農家の中にはある種の助成制度により無利子でお金を借りて数百万もするトラクターなどの耕作機器を購入した者もいるとか(酔っ払っていたので制度の名称を失念)。この種の補助金も一律カットなのだろうか。おそらくこの制度で大型耕作機を購入した農家はほとんど返済できずにお手上げだと思うが、どうなるのだろう。
順は逆になるが、今夜の話の発端はウチに回ってきた回覧板の話だった。ウチの近所の田畑の用水路はあちこちひび割れて水が漏れている箇所があるらしいのだが、今年はその修繕費が事業の見直しで一律カットなのだそうだ。代わりに新政権より植樹には補助金が出るそうである。用水を直す代わりに木を植えて水漏れ対策をしたい者には補助金を出すとのことであった。(シツコイが酔っ払っていたのでよく覚えてないが、たしかそんな話だった)
田んぼの畔に木を植えてどうする。しかも虫が寄ってくるので余計に消毒しなければならなくなる、と義父は嘆いていた。
私は聞くとはなしに耳を傾けていたのだが、どうも民主党は前政権の政策を何でもかんでも否定しようとしているという印象をもった。良い政策は継続し、必要のないものだけ見直せば良いと思うのだが。
遅くとも一、二年のうちには状況がはっきりするかも。そうなってからでは遅いのかもしれないが。