朝いつものように雨戸を開けると遠くの山々までたなびく霧であった。味気ない言い方をすれば徐々に地熱が上がってきた感じがする。かつて春は一番好きな季節だった。今は一番嫌いな季節。花粉症だからだ。
この頃の空を眺めるといつも高校卒業の頃を思い出す。あの頃は花粉症ではなかった。
都内の大学に進学しいくつかの入社試験に落ちながら今の職に落ち着いたのだが、小学校から続く学生生活が高校卒業で一段落したような印象であった。
就職して親父が亡くなり、平凡な毎日は永遠に続かないことを改めて知ったのだが、この時期になると何となくそんなことも自覚していなかった頃の自分を思い出す。
それにしても …花粉はマジ勘弁。