ニュージーランド人の同僚がいた。私より十歳以上年下だったが話がよくあった。今は残念ながら帰国してしまった。彼からニュージーランドのこと、そしてコモンウェルス(いわゆる英連邦)のことをよく聞いた。イギリス女王の誕生日はイギリスはもとよりコモンウェルス中から祝福されるとのことであった。そして彼から聞いたのが、ガイ・フォークス・ナイトのこと。11月5日、ロンドンではその夜に花火が打ち上げられ、かつて国王を暗殺しようとした大罪人の処刑を皆で祝福しあうのだとことであった。ガイの人形が引き回され最後は焚き火にくべられるのだそうだ。
ガイの名は男とか奴を意味する Guy の語源となったとか。(そういえば彼はよく "Hello,Guys!"と言いながら出勤してきた。)
そんな話もすっかり忘れていた今年の5月頃、私の知る何人もの子どもが、例の Sony の子会社へのネット攻撃で、プレイステーション・ネットワークに登録した自分の個人情報が流失させられたと嘆いていた。どうも Sony があるハッカーを訴訟したことがきっかけで「アノニマス」と呼ぶハッカー集団が情報流失させたとのことであった。アノニマスって何?ということで Wikipedia で調べてみると気味の悪い仮面をかぶった男たちの画像が載っていた。
アノニマス (集団) - Wikipedia
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b0/Anonymous_at_Scientology_in_Los_Angeles.jpg/300px-Anonymous_at_Scientology_in_Los_Angeles.jpg:image:right
このアノニマスがかぶっていたのがなんとあのガイ・フォークスの仮面であったのだ。"V For Vendetta" という映画で使われたガイの仮面だそうだ。なんと薄気味悪い!大罪人のお面はアノニマスにふさわしいのかも、と思っていた。
そして今年の11月6日。ちょうどガイ・フォークス・ナイトの翌日に以下のような記事を見かけた。
CNN.co.jp:ウォール街デモ参加者に広がる英反逆者ガイ・フォークスの仮面 「抵抗の象徴」
なるほど、ガイって反権力の象徴でもあったのね。国王暗殺未遂の罪人は見方を変えれば「自由の戦士」でもあるのか。それをアノニマスは気取っていたのか。
ガイはいまやウォール街を占拠する若者の守護神でもあるんだろうな。
アノニマスの仕業に嘆く子どもたちをそっちのけに、今度の週末は "V For Vendetta" のビデオでも借りて見てみようかと思う軽薄な私であった。