田舎者Yの日記

定年退職して農業に従事している者のブログ

(海外からスパムコメントが続きましたので、しばらくコメントは承認制にします。)

NHKラジオ「私も一言!夕方ニュース」の選挙制度の番組が面白かった

 大体いつも帰りの自家用車でNHK第一放送の「私も一言!夕方ニュース」を聞いている。通勤途中なので番組全部を聞いているわけではない。途中の20分くらいの聞くだけなのだが、今日の選挙制度に関する話はおもしろかった。

 「“格差是正”“定数削減” 選挙制度はどうあるべきか」で出演者は田中愛治(早稲田大学政治経済学術院教授)と竹中治堅(政策研究大学院大学教授)。運転しながら聞いていたのであまり正確には覚えていないが以下のような点が印象に残った。(記憶違いが十二分にあるとは思う)

  • 諸外国と比べて日本の国会議員が異常に多いわけではない(イギリスなどは人口は日本より少ないが下院(庶民院)だけで650名)
  • 選挙には「利益の表出」と「利益の集約」の意味がある。比例区選出制度は死票が少なく人々の利益を表出するが小政党も選出される可能性があり、意見がバラバラにある可能性がある。小選挙区制度は二大政党化する可能性が強く人々の意見が集約される傾向がある反面、死票が多く人々の意見を平等に表す(表出)するとは言えない可能性が強い、とのことであった。
  • 上記の点を踏まえると現在の日本における衆議院の小選挙区、比例区のバランスは一票の格差を度外視して考えるとなかなか良いのではないか。事実、比例区のみから部分的に小選挙区を取り入れた国(国名を失念)やニュージーランドのように小選挙区のみだったのだが比例区も取り入れた国もある。小選挙区と比例区を組み合わせるのが世界の趨勢である。
  • 政治が「溶解」している、政治が何も決められない、ということの原因を選挙区制度にあると考える人が少なくないが、それは慎重に考えないといけない。日本では選挙制度改革の頃に、政党の離合集散が始まり政党を渡り歩く政治家が出現したり、政策をあまり考慮せずに集票力のある人を政党が擁立したがる傾向が出てきたりしてきたが、それは選挙制度改革とは違う動きであり、他の要因があった可能性がある。
  • 日本の現在の「政治が何も決められない」ことの大きな原因には衆参の「ねじれ」にあるのではないか。衆議院では小選挙区制度の導入により二大政党が議席をのばす傾向にあるが、衆院選後に行われる参院選挙では与党に対する批判から野党第一党が議席をのばす傾向が見られる。参議院で票を得た野党は次の衆院選を睨んで容易には与党に妥協しない。このことが「政治が何も決められない」ことの原因である。


 その後、具体的な策が語られていたようだが残念ながら私は聞くことができなかった。なるほど、と目から鱗の話が多かったのだが、実際に更なるより良い選挙改革ができるかどうかは結局のところかなり難しいのではないか、という気がしてならない。よく語られることではあるが立法府が自分の不利益になるようなことを決められるだろうか、という点につきる。

 憂鬱になるのでこのへんにしておく。