田舎者Yの日記

定年退職して農業に従事している者のブログ

(海外からスパムコメントが続きましたので、しばらくコメントは承認制にします。)

紙を三つ折りにする方法

 はてブニュースで「A4用紙もキレイに三つ折り 便利な『手紙の折り方』を試してみた」というニュースがホットエントリ入りしていた。

 しかし、ここで写真入りで紹介されている2枚のA4を利用する方法は誤差が大きい。手で折るには多少の誤差は問題にならないだろうが、私としてはちょっと気になる。昔、「数学III」の教科書に正確に紙を三等分する方法が載っていた(と思う。四半世紀以上昔なのでうろ覚え)。ここで思い出して書いてみる。図を用いずに説明するので、ひょっとしたら意図が伝わらないかもしれない。

紙は白銀比

 まず最初に断っておくがJIS規格というか、ISO216 で決められた紙の縦横の長さの比は  1:\sqrt{2} である。(これを白銀比というらしい。)なぜかといえば紙は半分に折ったものが元の形と相似だからである。元の紙の縦横の比を 1:x とする。(ただし、x>1 とする)長い方の辺(x)を半分に折ってできる紙の縦横の比は  \frac{x}{2}:1となる。これらが相似であるから、1:x = \frac{x}{2}:1 となる。これを解くと  x = \sqrt{2} であることがわかる。


 上記のはてブニュースの記事は縦と横に置いたA4の紙を重ねている。ちょうど重なった部分は正方形で、余った辺の長さは、元の紙の短い方を1とすると長い方は  \sqrt{2} であるから、折り返す辺の長さは  \sqrt{2}-1≒0.4142… で若干 1/3= 0.3333… より長い。

昔の数学の教科書に載っていた方法

 たしか無限数列のあたりに載っていたと思った。やり方はこうである。

 説明をわかりやすくするため、縦長に紙を置く(縦の方が横よりも長い)。縦の辺を三等分することを考える。(完成すると横長の三等分の紙ができる)


 まず下の辺をつまんで適当に三分の一くらいになるように紙を折って、また元のように開く。そうすると真ん中よりも下側に水平に折り目ができる。次に上の辺をつまんでその折り目に合わせて折り、そして再び紙を平らに開く。今度は真ん中やや上側にも折り目ができる。
 次にその最後にできた折り目に合わせて下の辺を折る。実際にやってみるとわかるが、最初に大体三等分になるように折ったので、新しく(3回目に)できた折り目は最初に折った折り目のそばにできるはずである。
 今度はその最後にできた折り目に合わせるように上の辺を折り込んで開く…。これを繰り返していくと折り目は徐々に三等分の一に収束する。

 面倒くさそうだが、収束が早く、2、3回でほとんど折り目の移動がなくなるはずである。


 欠点としては折り目が何本もついてしまうことである。実際には元の文書を同じサイズの紙で試してみて、三分の一を位置を決めて、それを定規にして本番の紙で試せば良いのである。

 また上記のサイトで紹介している方法よりも時間がかかりそうな点も欠点かもしれない。私の場合は紙をしっかり折らず、紙の端から数ミリ程度の幅で折り目をつけて上記の作業を繰り返し、位置が大体正しいと思ったら、紙の端だけでなく全体をしっかり折るようにしている。こうすると結構早く三等分に折ることができる。

 言葉だけの説明だと意味不明かもしれないが、とにかくやり方によっては早く正確に三等分できる。

少年時代へのノスタルジー

 私はポスト・ベビーブーマーともいうべき世代である。70年代に小学生で80年代に大学生であった。(「20世紀少年」の世代といったほうがわかりやすいか)。団塊の世代が超詰め込み教育であったようだが、我々の世代くらいから「詰め込み」の反省があったと思う。徐々に学習内容は軽減されていきつつあったのだが、まだまだ詰め込みの影響はあり、結構学習内容が多かったと思う。特に算数・数学は(後に私は数学科に進学したのでそう思うのだが)悲惨だったと思う。
 小中学時代は「数学の現代化」の影響を受けて、集合やら写像概念やら演算の例として剰余系(類)などわかりにくい概念を教えられた。(私を教えてくれた小学校の先生などは「私もよくわからないんだけど…」とおっしゃりながら教えてくれた)その後私たちの後輩の教科書からはきれいさっぱり、それらは消えてしまったようだ。ちょっと前に勝間さんがひろゆき氏の「写像って何?」と言われてガックシしている動画を目にしたのだが、無理もない。写像なんて中高の数学の教科書から我々が卒業後(たしか)十年くらいできれいさっぱりなくなってしまっているのだから。


 私は田舎の公立高校に通っていたのだが、文系も理系もへったくりもなかった。全然類型化、分化していなかった。わすかに理科、社会の選択があったくらい。文系も理系もほとんど同じカリキュラムであった。今となっては信じられないが、私立文系志望者も数IIIを学んだのである。(理系だった私は当然、世界史も日本史も古典・漢文も履修した。)

 おそらくは我々の世代の何人かの文系大学出身者も上記の方法を知っているはずである。忘れてしまっているかもしれないが、話せば「そういえばそんなことも習ったかも」と思い出すはずである。

 このような文系、理系を越えた一見無駄に見えるような教育、これこそが日本の経済力、いや国力の源泉だったはずである。


 …今夜はちょっと飲みすぎた。戯言はこれくらいにしてもう寝よう。でも慣れると結構早く紙を三等分できるよ。やってみてください。