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田舎者Yの日記

片田舎のバイク乗り・Linuxユーザ、つまり変わり者のブログ

常識

misc

 昔、乗っていた三菱パジェロにはCDチェンジャーを入れていろいろと音楽を聞いていた。今は中古のホンダ・フィットに乗っている。もうクルマにお金をかけるのが馬鹿馬鹿しくなって、ラジオが付いているのみ。J-Wave と NHK のニュースを聞くくらいだ。

 J-Wave は大好きなのだが、さすがに私の住む熊谷市以北では電波の受信状態が良くない。また帰宅時間帯の番組も私のようなおじさんにはついていけないな、と思うことが多い。ということで帰路には他局を聞いている。


 ところで、私は野球が大嫌いである。親父が野球大好きでTV観戦しながら選手や監督をなじるのを横で見て育ったせいもあって、私は反対に大嫌いになってしまった。プロ野球開幕後のこの時期の夕方のラジオは私には苦痛である。どの AM 局も野球中継ばかりである。野球が嫌いなラジオ・リスナーってものは相当少数派らしい。なんとか野球中継をやらないところを選局して聞いている。AFN と放送大学である。


 放送大学はあるときたまたま選局したのだが、分野によっては非常に興味深い内容だ。私の場合、特に英語の講義などを面白いと思うことがある。私は中でも大橋理枝助教授のファンである。声がとてもかわいらしい。講義もなかなかわかりやすい。ご自身でもよく研究されている様が聞いて取れる。
 しかし、放送大学の講義はそれなりの長さなので、帰宅時のクルマで聞いていると全部聞くことができない。あるとき大橋先生が小泉八雲の作品を取り上げていたことがあり、その中でも「常識」という短編が気になった。残念ながら全部を聞くことはできなかった。

 本来ならば放送大学のテキストでも買って読めばよいのだろうが、一年くらい前の話だし、それほどまでして読みたいと思わなかったのでそのままにしていた。


 先日、何とはなしに気になったので、検索してみた。'Common Sense'(常識)は 'Kotto'(骨董)という作品集に収められた短編のようだ。 Google Books で "Lafcadio Hearn" "Common Sense" で検索したら Kotto がヒットして中身の英文も読むことができた。便利な時代になったものだ。


 Wikipedia の日本語版にはわかりやすい要約が載っていた。以前、日本の知識人が北朝鮮の拉致問題を見抜けなかったことの批判にこの小泉八雲の「常識」が引用されているのを読んだ気がする。そのような方からは好まれる題材なのかもしれない。

常識 (小泉八雲) - Wikipedia

ある寺の和尚のもとに夜な夜な普賢菩薩が姿を現すという。

和尚と親しい猟師がそれを聞いて和尚のもとを訪ねるが、毎晩和尚と一緒に菩薩を迎えているという小僧の言葉に疑問を抱く。

その夜、和尚たちとともに光り輝く普賢菩薩の姿を見ることが出来た猟師だが、突然立ち上がり菩薩に矢を射掛けた瞬間、悲鳴とともに光も菩薩の姿も消えた。

和尚は半狂乱になって猟師を罵るが、猟師は「徳の高い和尚が仏を見ることが出来るのはわかるが、小僧や殺生を生業とする猟師の自分にまで姿が見えるとはおかしい。仏を騙り、和尚の命を狙った化け物の仕業ではないか。」と言って理路整然と和尚を諫め、翌日様子を見てみようと告げる。

果たして、寺から血のあとを辿ってみたところ大きな古だぬきが猟師の矢を受けて倒れていた。

和尚は学問があり、修行を積んでいたにも関わらず、化け物に手もなくだまされていた。一方の猟師は、学問はなかったがしっかりとした常識を身につけていたため、妖しのものを見破り、危険を脱することができたのである。


 私も常識がある方ではないので、この寓話は忘れないでおきたい。