田舎者Yの日記

定年退職して農業に従事している者のブログ

(海外からスパムコメントが続きましたので、しばらくコメントは承認制にします。)

優秀な教員を確保しようとして逆に裏目になっている件

 この間、「学校から黒板がなくならない理由」という記事を書いてみたが、アクセスが増えなかったので(笑)、書く気が失せていたのでだが、一応少し続きを書いてみる。


 自民党政権下で教員免許講習制度が開始された。現職の教員には頗る評判が悪い。私も免許の更新制度により教員の質が向上するとは思わない。なぜなら講習を受けるのが大学だからだ。大学というところは教える内容はより高度な専門知識であるが、その教授たちが優秀な教育者だとは到底思えない。もちろん中には優れた方もしるだろうが、大学の教授のほとんどが特段優れた教育スキルを持っているとは思えないことは、大学を卒業された方ならほとんど同意するのではないだろうか。

 しかし、教員には評判の悪いこの制度も、教員以外の方からはそれほど批判が聞かれない。私は、かのクーベルタン爵ではないが、実施することに意義がある制度なのだろうな、と思っている。


 私がこの教員免許更新制度で一番危惧するのは、これにより教職課程を取る大学生が極端に少なくなることが予想される点だ。もうすでにそうなりつつある。事実、ここ数年来各都道府県、市町村の教育委員会は教員採用試験の受験者の確保に頭を痛めている。


 教職に興味のない方にはピンとこないと思うが、これはごく当たり前の結果だ。今の制度では、せっかく苦労して大学で教職用の単位を取得して教員免許を取得しても、免許講習を受けなければ数年のうちに免許が失効してしまうからだ。またこの免許講習は運転免許の講習と違って一日で済むものではない。一ヶ月近く講義に参加してレポートを提出して、審査に合格する必要がある。運転免許であれば、免許を持っていながらも実際は運転しない、いわゆるペーパードライバーが少なからずいると思うが。教員免許の場合は、今までは言うなれば「ペーパー教師」もいたかもしれないが、これからは皆無となるだろう。現職の教員でなければとても教員免許を保持するために一ヶ月も講習に参加する気はおこらないだろう。


 教壇に立ってない人の免許が失効しても構わないと思われるかもしれない。しかしこれは教育界にとっては大きな痛手である。現在の学校は、地方自治体の財政難の影響で、正規採用の教員が減っている。年々、臨時講師の割合が増している。そういう臨時的任用の講師はもちろん教職免許を有している方だ。免許講習制度によりこういう方も減少する可能性が十分にある。事実、私の知る若い講師の方は教職に見切りをつけて他の職種に転職してしまった。


 これに追い討ちをかけているのは、現民主党政権が計画している大学の教員養成系の学部の6年制化だ。アホとしか言いようがない。すでに6年制化した医学や薬学ならいざ知らず、6年もかけて、毎年給料が下がり続けて、モンスターペアレンツと戦わなければいけない職場に誰が来るというのだろう。


 教員免許制度は、私は問題があるとは思うのだが、ある程度国民の支持を受けているので存続させるのは止むを得ないと思う。しかし現職教員以外の、講師予備軍とされる方や大学で免許取得しても実際に教壇に立ってない方の更新は簡易化するべきだと思う。そうでないといずれ教える人が誰もいなくなってしまうと思う。


 上記のような問題点があるので現行制度はいずれは見直しをせざるを得ないだろう。教職の6年制化なんてもってのほかである。