田舎者Yの日記

定年退職して農業に従事している者のブログ

(海外からスパムコメントが続きましたので、しばらくコメントは承認制にします。)

学校から黒板がなくならない理由

 下記のニュースが注目を集めていた。すごいなと感心する反面、こんな試みは何度目だ、と思ったので書いてみる。

学校の授業を19世紀(工業化社会)型から21世紀(情報化社会)型に変えてしまうTime To Know

 もちろん私は黒板を礼賛しているわけではない。21世紀にもなって、ほとんどの学校で黒板を使った一斉授業なんてナンセンスだ、という思いはある。しかし日本の学校からは黒板はなくならないと私は思う。なぜなら…


● 気軽に自由に書けるので、多くの者に伝達するのに便利

 ま、学習とは最終的に個別学習へと帰着するのかもしれないが、とりあえずある程度の人数へ一斉に伝達するのには黒板は良いツールです。


● ランニングコストが安い

 一般企業で黒板を使っている人はほとんどいないでしょう。ほとんどホワイトボードでしょう。でも学校で全教室をホワイトボード化したら、これまた莫大な予算が毎日必要となるでしょう。ちなみに最近のチョークはダストレス・チョークといって私の子どもの頃(70年代)よりは粉が飛び散りません。


● 遠くからよく見える
 企業の方には気がつかない人が多いと思いますが、黒板の字はホワイトボードより圧倒的によく見えます。白が膨張色だからです。実際やってみれば一目瞭然。会社の場合は大きい部屋でホワイトボードを使うという場面はほとんどないでしょうけど。ちなみに視認性を意識して、パワポなどのスライドショーで必ず暗色の背景に白字を使う方もいることでしょう。(この利点は Wikipedia の「黒板」の項になかったな)


● 事前の準備が楽
 この点が多くの教師から黒板が指示される点でしょう。その場で変更なんてすぐできます。逆に言うと電子黒板などは、その場で聴衆の反応に応じて変更って非常にやりづらい。この点は何とかならないのかな…。


● そもそもこの手の手法を使うのだったら学校に来る必要がない
 これが学校で黒板以外が広まらない最大の理由だと思います。個別に、電子機器で学習ができるのだったら、学校に毎日来る必要ないでしょう。いや教育というのはそう単純なものでもないとは思います。毎日、同年代の子どもと交流することも大事でしょう。でもある程度大きな空間(部屋)で大勢の子どもたちを一緒にして教えるとしたら…やはり黒板を使っちゃうと思うのです。

 逆に小さい子どもはまだ無理かもしれませんが、遠隔地でインターネットを使って学んでいる方って相当数すでにいると思うのですが。だから学校に電子機器がなかなか広まらないように見えるのですが、実はかなり使われている場所には普及していると、私は考えるのです。それが学校ではないだけで。


 それから最後に思い出しましたが、黒板がなくならない最大の理由がもう一つありました。それは現職の教員が新しい技術をなかなか使いこなせない、という点です。今まででしたら高齢者が引退して新しい人教員に採用され、新陳代謝が進んだのですが、今の日本ではどの地方も教育費を抑制するために退職教員を大量に臨時的に任用しています。また教員という職種も人気もなくなり小中高では教員採用試験受験する人も減りつつあります。(現に東京都などは東北地方で教員募集をしております。宮城県も関東地方などで募集していたはず。)

 この教員のなり手が減っているという件はあとで記事を書いてみようかと思ってます。