世の中予定通りには進まないものだ。「予測できないからこそ生きる価値がある」と語った哲人がいたと思ったが、単なる思い違いだったかもしれない。
私は団塊の世代よりは若いのだが、クルマやバイク(といっても自動二輪のことだが)が大好きで、4年前にこの日記を書き始めた頃はその手の話題を多く書くつもりでいた。しかし一昨年、事故で愛車のプジョーを失し、初めて中古車に乗ってからというもの、すっかり自動車に関する情熱を失ってしまった。それでも元来クルマが好きだったので自動車関連のニュースには関心を持ちつづけている。
マスコミ各社が伝える以下のニュースを知ったとき非常に違和感を覚えた。
トヨタ部長級2200人が新車購入 業績回復へ“自主的”行動 - MSN産経ニュース
世界的な新車販売の低迷を受け、トヨタ自動車の部長級約2200人が3月末までに自社の新車を購入する取り組みを始めたことが13日、分かった。部長職の自主的な行動からスタートしたが、一部の役員も同調している。業績悪化に歯止めをかけるための異例の取り組みだ。
正直思った、アホかと。
自社製品を買って売上が伸びたとして、それがどんな意味があるのかと。一時的に業績が回復するかもしれない(いやトヨタはそれほど小規模な売上高ではないか)、会社への忠誠心は表現できるかもしれない。しかし自社製品を社員が買っても何の解決にもならないとは思うのだが。事実上の現物支給ってことかしら?
こう思うのは私だけかと思ったらはてなユーザの反応も同様である。(ま、はてなユーザが世間の良識の民を代弁している、とは言いにくいのだがw)
また絶妙のタイミングで以下の分析記事がはてなブックマークのホットエントリ入りしている。
若者のクルマ離れ、その本質は「購買力」の欠如:NBonline(日経ビジネス オンライン)
記事の内容自体はそれほど目新しい指摘ではない。むしろ数年前から2ちゃんねるで書かれていたようなことだ。それに対するブックマーカーの意見も興味深い。
はてなブックマーク - 若者のクルマ離れ、その本質は「購買力」の欠如
なかでも
kechack [労働],[経済] トヨタの奥田会長が日本の労働者の低賃金化を推進した成果でしょう。
は、確かにそうだな、とは思う。
しかしブックマークのコメントの中には二、三、単に購買力の低下だけが問題なのではないのでは、という指摘がある。
私も思うところがあって、いつか記事に書いてみようかと思っていたら、小飼弾氏がすでにこれまた興味深いエントリーを書いていた。
404 Blog Not Found:News - 車買えない?それとも買いたくない?
ところが、かつてギークというのは大のクルマ好きだったのだ。
(中略)
「神妙な機械」にして「自由の象徴」、それが彼らにとってのクルマだった。
しかし、今日日のギークは、クルマというのは「高くてウザい」ものに成り下がってしまった。東京は特にそれが強いが、この傾向は全世界的なものだというのは、毎年ギークたちに宿を提供している者として強く感じられる。
だから、仮に景気が回復しても、先進国の人々、特に若者がクルマに戻ってくることはあまり期待しない方がいい。彼らはもうクルマに「単なる工業製品を超えた魅力」を感じてはいないし、これからはもっと感じなくなるだろう。
クルマ好きな私にとっては寂しいのだが、これは的を射た指摘と言わざるを得ない。
「ギーク」ではないが、うちの近所でも夜中にやってくるいわゆる暴走族は目に見えて減っている。シャコタンのクルマもほとんど見かけない。安眠できるのは良いのだが、明らかにクルマやバイクは若者の興味関心の対象からはフェードアウトしつつある。
クルマ好きの私としては寂しいし残念でもあるのだが、若者が自動車に乗らず、なるべく地球環境にやさしい暮らしを(意図してか意図せずにかの違いはあるにせよ)過ごしているのは何となく微笑ましいというか、私たちの世代とは違った価値観で、それはそれで良い気もする。
最近、自分はクルマ(あるいはバイク)が本当に好きなのだろうか?と思うことが多くなっている。