長らく Ubuntu を使っていたのだが、ひょんなことから Debian に乗り換えた。しばらくはテスト版(lenny)を使っていたのだが、今は不安定版(sid)を使っている。
新しもの好きだが大枚を払ってまで最新の製品を買うことがない私にとっては、恰好の遊び道具である。何しろ最新バージョンのパッケージを無料で利用することができるからだ。
しかしうまい話には裏があるものだ。Debianのサイトを見るとしつこいくらいに不安定版(sid)はユーザの自己責任で使用してくれという旨の書き込みがある。例えば Debian JP Project のリリース情報は以下のようである。
不安定版 (コードネーム「sid」)は、バージョンはなく、常に開発中であり、パッケージ開発者による最新のパッケージが提供されています。不安定版は公式にリリースされることはありません。セキュリティアップデートはありません。
Debian の活発な開発状況が最も反映されている変化が激しいバージョンであり、最先端を感じられるものの、パッケージのミスなどでシステムが破壊されて修正を余儀なくされることもあります。利用に際しては、あなた自身での情報収集・問題解決・開発への参加 (バグ報告など) が要求されます。
そういう代物を素人の私が使っているのだが、使いものになるのか?と聞かれれば、十分過ぎるくらいに使える、という実感を持っている。Debian の不安定版を半月くらい使ってきたのだが、むしろ以前使っていた Ubuntu 8.10 よりも安定している感じすらある。
例えば、私は用途に応じてブラウザを使い分けていて、Operaを使うこともある。この記事を書いている時点では Opera 9.63 を使っている。Debianのsidと、そしてたまにVirtual Box の仮想環境下の Ubuntu 8.10 でも同じバージョンの Opera 9.63 を使っているのだが、前者のOperaのほうが安定している。後者ではたまにOperaが落ちることがある。以前 ホストOSを Ubuntu 8.10 にしていたときも同様だったので、この差は Virtual Box による影響ではないと思う。(といっても素人の私には原因がよくわからない)
それからシステムのフォントにもよるとは思うが、Operaを開いたときの和文フォントは sid のほうが Ubuntu 8.10 のものよりも断然綺麗である。わかりづらいかもしれないがスクリーンショットを掲示してみる。
(Debian 不安定版における Opera 9.63 のスクリーンショット)
(Ubuntu 8.10 における Opera 9.63 のスクリーンショット)
Ubuntuでは例の長音記号(ー)がプラス(+)で表示されているが(設定で回避することはできる)、sid ではデフォルトで長音記号がそのまま表示されている。
ただ、そこそこ安定しているとはいえ、やはり不安定版であるので全く心配がないわけではない。私は以下のエントリーにあるようにホーム・ディレクトリを別のパーティションにしたり、rootのパスワードを温存していたり、レポジトリの設定ファイルのコメント部分にテスト版のサーバを入れておいたりしている。
Debian sidを導入してみる - マイクロソフトフリー
今まで5回くらいパッケージのアップグレードを行っている。依存関係が崩れないように "sudo aptitude full-upgrade" を実行するようにしているのだが、毎回「ひょっとしたらアップグレード後、起動できなくなるかも」という思いが頭をよぎる。
ま、そうなったらまたテスト版にでも戻せば良いだけなのだが。
多少の注意は必要だが、不安定版も使用に耐える、いやむしろ安定していると感じられるときすらある、と感じたこの半月であった。