田舎者Yの日記

片田舎のバイク乗り・Linuxユーザ、つまり変わり者のブログ

打ち水は地球温暖化を促進するかも!?

 カーラジオでJ-Waveを聞きながら田んぼの畦道を通って通勤している。何年か前から夏になると「打ち水大作戦」などという企画をJ-Waveは応援しているようだ。たしか地球温暖化防止の一環としてのキャンペーンだと思った。

 さすが都会の人は粋なことを考えるねぇと感心していたのだが、下記のエントリーを目にするにつけ自分の愚かさに気がついた。

 [間歇日記]世界Aの始末書: 打ち水が「温暖化対策」なわけないだろう

 だが、打ち水を「温暖化対策」などと呼ぶのは、ミスリーディングもおびただしい。教育上、悪い。打ち水の効果は、水が蒸発するときに地表から気化熱を奪い、地表からの輻射熱を減らし、地表付近の気温も多少下げるというだけのことにすぎない。熱エネルギーは地表から水の分子に移動しただけであって、ちょっと広い範囲で見れば、熱の総量は変わっていない。

 言われてみればその通り、どうしてこんな基本的なことに気がつかなかったのだろう。

 ちなみにこのエントリーの元となったのは以下のニュース記事である。
  asahi.com(朝日新聞社):打ち水で「温暖化止めよう」 暑さ日本一の岐阜・多治見


 嫌な予感がして検索してみたところ以下の記事を見つけた。こちらは2005年、大学の学者さんである亀野氏*1によるものらしい。少し長くなるが、引用させていただく。

  打ち水って地球温暖化を促進させるのでは

打ち水で気温を下げようという運動 があるらしい。「地球温暖化に対抗する地上最大の社会実験」というキャッチフレーズを掲げているが、物理的には疑問だらけだ。打ち水によって、局所的には温度を下げることはできるだろうけど、地球全体としては温暖化が促進されるのではないだろうか。その理由は以下の三つ。
1. 地球温暖化を防ぐには、地球から宇宙空間へ捨てる熱を増やすしかない。宇宙は真空なので、その手段は放射冷却だけだ。放射冷却で輸送される熱量は物体の絶対温度の4乗に比例するので、高温の領域ほど効果的に熱を捨てることができる。打ち水で地面の温度を下げると、放射冷却の効率が低下し、熱がこもることになるだろう。
2. 打ち水によって熱量は局所的には減るかもしれないが、地面と水とを合わせた熱の総量は変化しない。地面の熱が水蒸気に移動し、エントロピーが増えるだけだ。平たく言えば、蒸し暑くなるだけ。
3. 打ち水によって発生する水蒸気は、CO2なんかよりずっと強力な温室効果をもたらす。水分子は電気双極子モーメントを持つので放射に対して光学的に厚くなりやすく、放射冷却を妨げて温室効果をもたらすだろう。

もちろん、局所的に人が暑さを凌げればよい、という考えは間違っているとは言えないので、打ち水をやめろと言うつもりはありません。電力を使って冷房をするよりはマシだと思います。でも、「地球温暖化に対抗する」というスローガンはマユツバモノだ。

 亀野氏は上記の記事の中でNPOに手紙を書くと書いているが、どういう返事だったのだろう。ちょっと気になる。


 「打ち水大作戦」のページがある。
http://www.uchimizu.jp/

 ここの日本語のページではヒートアイランド現象への対策と書いてあって地球温暖化防止とははっきり書いてないようだ。
 それにしても亀野氏の指摘の3番目は気になる。おそらく地球規模ではそれほど影響が大きくないとか、一概には言えないこともあるかもしれない。しかし少なくとも打ち水には地球全体の気温を下げるような効果がないことは明白だろう。(単にエネルギーが移動するだけで総量は変化しないので)

 運動に「水を差す」ようだが、局所的には水の蒸発により気温が下がるのは疑いもないことだろうが、大局的に本当にヒートアイランド現象を改善する効果があったのか、検証してほしいものだ。

 もし、亀野氏が心配するようにかえって温室効果を促進するようでは洒落にもならない。

*1:現在は鹿児島大の准教授のようだ