昨日、不思議な形の雲を見た。地震雲でなければよいのだが。はてなキーワードを漁ると輪島半島地震の前に不思議な形をした雲を見た方がいるようだ。いくつか写真もアップされている。科学的にはまだ認められていないようだが、地震雲はあながちエセ科学とは言えないのではないだろうか。
私が「地震雲」というものを知ったのは、泡坂妻夫さんの探偵小説『DL2号機事件』である(ミステリーと言わずあえて探偵小説と書こう)。『亜愛一郎の狼狽』に納められた名探偵 亜愛一郎のデビュー作である。短篇ながら読者の意表をつく展開だ。
- 作者: 泡坂妻夫
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1994/08
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私にとって高校時代は面白く、毎日が充実していた。あの頃から精神的に成長していない気もするが。まわりには変人奇人が多かった。(私もその一人だったかもしれない)
自衛隊の入隊試験を落ちて入学してきた者、実は暴走族のヘッドだった者、今で言うならオタクな人達…。その中にものすごくミステリー・ファンなヤツがいて「エラリー・クイーンズ・ミステリー・マガジン」とか「幻影城」とかいう渋い雑誌を読んでいた。
私は横溝正史とか「ビックリハウス」(<ミステリー誌ではない。ティーンエイジャーをターゲットにしたコミカルでお洒落な雑誌だった)を読む、当時としてはごく一般的な高校生だった。あるときミステリーに詳しい彼に「最近面白いヤツない?」と聞いたのだが、その彼が勧めてくれたのが亜愛一郎だった。
亜愛一郎(あ あいいちろう)この発音しにくい名前は作者が探偵名鑑が作られたとき五十音順で一番最初にくるように、と命名したらしい(アルファベット順でも一番だな…)。
泡坂妻夫さんは後に『陰桔梗』で直木賞を受賞している。この週末は泡坂さんの作品でも読んでみよう。ちなみに泡坂さんの本名は厚川昌男という。「あわさかつまお」と「あつかわまさお」、アナグラムである。
しかし亜愛一郎はドラマや映画にはなっていないようだ。誰か映像化してくれないかな…。