田舎者Yの日記

定年退職して農業に従事している者のブログ

(海外からスパムコメントが続きましたので、しばらくコメントは承認制にします。)

ポアンカレ予想

 今となっては恥ずかしい話だが、私は某大学の数学科を卒業している。自分なりに一生懸命に勉強して、それを生かせるような職を得たが、その後の自己研鑚を怠りすっかり現代数学を理解しようとする気概も失せてしまった。

 遅ればせながら、ポアンカレ予想が証明された(証明されたとほとんどの数学者が認めている?)ことを知った。その栄誉はロシアの数学者グレゴリー・ペレルマンに属するようだが、彼はなんとフィールズ賞の受賞を辞退したと聞く。予想の解決には100万ドルの賞金がかけられていたのだが、当然その受け取りもペレルマンは拒否したとか。ロシアでは彼が格好のジョークのネタとなっているとか。

http://www.asahi.com/international/update/0902/002.html

フィールズ賞辞退の数学者ジョークが大流行 ロシア
2006年09月02日07時19分

 ロシアで、世紀の難問といわれた数学の「ポアンカレ予想」を解決に導きながら、フィールズ賞を辞退した自国の数学者グレゴリー・ペレルマン氏(40)をめぐるジョークが大流行している。旧ソ連の指導者らがなってきたジョークの対象に数学者が登場するのは初めてという。

 大衆紙コムソモリスカヤ・プラウダによると、多いのは、米国クレイ数学研究所から「予想」の解決者に出る賞金100万ドル(約1億1600万円)の授賞が決まったわけではないのに、これも辞退したかのように先取りしたものだ。たとえば「ペレルマンが100万ドルを見るような目つきだぞ」――。その心は「断った100万ドルのように嫌そうに見ている」だ。

 まったく現実味のないことは「ペレルマンに100万ドルをやると提案するようなものだ」。「ペレルマンにとっての100万ドルと同じくらい、彼は私に必要ない」という言い方もある。

 ガゼータ紙は100万ドルの賞金について「彼は賞金のことは知っていたが、まったく関心を示さなかった」との同僚の話を紹介。高額賞金への無関心な態度は、石油の高値で好況とはいえ貧富の差が開く一方のロシア国民に、よほど強烈な衝撃を与えたようだ。


 いや蓋し数学者とは斯くの如きものなり……なんてね。


 最初にポアンカレ予想と聞いて、私はヒルベルトの問題の一つが解けたのかと勘違いしてしまった。

 ヒルベルトというのは数学や物理を勉強したことのある人は知っている David Hilbert のことである。彼は最後は不遇の死を遂げたと言う。私が学生だったころゼミのK教授に聞いたことがある。「ヒルベルトのように数学で業績を残しながらも不遇の死を遂げるのと、数学での業績は大して上げられずに、それでも家族や友人と幸せに暮らして往生を遂げるのではどちらが良いでしょうか。」と。K教授は間髪を入れずに「もちろん私は前者が良いと思います。」とニコニコしながら答えてくれた。
 私は内心「自分は数学者になれない」と悟ったものだった。K教授もすでに鬼籍に入られたであろう。その生涯は幸せだったのだろうか…。

 そんな経験があるものだから、私は前述のペレルマンの逸話を耳にしても少しも不思議には思わないのだ。むしろ尊敬の念すら抱いてしまう。(こんな私だから金持になれないのね…orz)


 ところでヒルベルトの問題は23もあることをWikipediaで知った。(12問題だとこれまた勘違いしていた)しかも「連続体仮説」は証明も反証もできない命題だったのですね!(連続体仮説とZFCが独立)

 う〜む。また数学の専門書でも買って読んでみるか…。