田舎者Yの日記

定年退職して農業に従事している者のブログ

(海外からスパムコメントが続きましたので、しばらくコメントは承認制にします。)

プール事故についての再考(ふじみ野市とは)

 私は埼玉県で生まれ育った。埼玉が大好きである。しかし埼玉は不思議なところだと常に感じている。私の住む北部は完全に田舎町の様相を呈しているが、さいたま市周辺は都会の延長にある。「埼玉都民」という言葉があるように多くの者が都内へ働きに出ている。夜間人口にくらべて昼間人口がかなり少ないとも聞く。基本的に「ベッドタウン」から成り立つ県である。地元に関心を持つ人も少なく、地方自治体の首長選は大体、低投票率である。

 このことは埼玉の歴史がそうさせるのかもしれない。東京とは分かれてしまったが、なんと言っても旧武蔵国天領であった。「江戸の台所」として食糧を供給する村々から成立ち、強力な中心都市を持たなかった。*1合併でどうなったか知らないが、以前は全国一「市」の多い県であった。何しろひと頃、たしか30くらいの市があった。正直言って埼玉県民でもすべての市名を挙げることは至難のわざだ。名前を聞いてもどこにあるかよくわからない、ということはよく耳にする。人口は多いが(700万人超。四国四県の合計よりも多い)、平均的な街が続く、特色がないのが特色と言っても良いような県である。

 さて前置きが長くなった。今回の事故で職場で真っ先に話題になったのが「ふじみ野市の市長はかわいそう」ということであった。上福岡市大井町が合併してできたばっかりのふじみ野市でこんな悲惨な事故が起こってしまった。大井プールって旧大井町じゃないか。なったばかりの新市長にすべての責任を押しつけるのはどうなのだろう…と。

 ニュースによるとふじみ野市の市長宛に脅迫状も送られているようである。
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2286210/detail?rd

[脅迫文]埼玉県ふじみ野市長あてに…横浜で投函
 5日午後5時ごろ、埼玉県ふじみ野市福岡1の同市役所で、秘書室の郵便の束の中に島田行雄市長あての脅迫文があるのを職員が見つけ、東入間署に届け出た。

 同市によると脅迫文ははがきで、表面に「埼玉県ふじみ野市 ふじみ野市長」、裏面に「われわれはあなたを処刑することをここに公示する 某組員一同」と黒いボールペンで書かれていた。消印から2日正午〜午後6時までに横浜市の港北郵便局管内で投かんされたとみられる。【藤川敏久】

 まったく可哀想に、勘違いも甚しい、と思ってググってみたところ実は勘違いしていたのは自分だと言うことに気がついた。
 なんとふじみ野市は合併の際、全国でも珍しい旧町長が旧市長をやぶって当選した数少ない例であった。つまり島田ふじみ野市市長は元の大井町町長そのひとだったのだ。

「行政調査新聞」より
http://www.gyouseinews.com/local_administration/dec2005/001.html

「都市計画は都市経営。インフラ整備だけじゃ駄目。アイディアがなければね」

 島田行雄初代ふじみ野市長はパワフルなチャレンジャーだ。そして具体的な数字を出してきた。小さな町で驚嘆すべき経済効果を上げてきたこの人物、島田市長が旧大井町で遺憾なく発揮したその先見の明と経済的手腕は、全国の自治体首長が刮目すべきものだ。

 それにしても、である。前上福岡市長とはなんたる違いだろう。旧上福岡市の「闇」を知れば知るほど、ふじみ野市の未来が輝かしく思えるのは本紙だけだろうか……。

「町長が市長に勝った!」
上福岡市を殺した男」にノーを突きつけ
島田市長を選んだ市民の熱い思い

 上福岡市大井町が合併し、10月1日に誕生した新市「ふじみ野市」。新たな市の首長を決める市長選は11月13日に行われ、旧大井町長を5期務めた島田行雄氏(59)が初代ふじみ野市長となった。

 当日有権者数は81,624人、投票率47・4%と前回の上福岡市長選を大きく上回った今回の市長選で、島田氏は旧上福岡市長の武藤博氏(68)、県社会保障推進協議会副会長の佐藤秀人氏(61)、建設会社社長の堀井孝悦氏(58)を押さえ17,617票を獲得。島田行雄市長を望む新市民の熱い思いが込められていたといえよう。

 この結果を望外の喜びとする市民も少なくない。「町長が市長に勝った」からだ。元大井町長としての島田氏の手腕、その一方でささやかれ続けた旧上福岡市長武藤博氏にまつわる黒い噂をみれば、政治家としての島田氏の存在がいっそうの輝きを増したであろうことは想像に難くない。

 だがこれまで全国各市町村で展開されていた合併合戦で、町長が市長に勝つことそのものが「想定外」。武藤氏側は会派を一本化し、自民党と公明党の市議の結束により優勢を保とうとしたものの、保守系の中にさえ島田氏側につく上福岡市議もいた。こうした保守分裂も旧上福岡市の弱小ぶりを示す証左となったのである。

 旧大井町民が抱いたであろう危機感、つまり「武藤氏が新市長になれば、『桜通り線延長計画』をはじめとする税金の無駄遣いで大きくふくれあがった上福岡市の借金を背負わされる」という不安もまた、島田氏当選の追風になったことは間違いない。

 だがそれだけではない。本紙が過去号(平成15年12月号)にてお伝えした旧上福岡市役所をめぐる大スキャンダル……武藤前市長と「私の言葉は市長の言葉と思いなさい」を決めゼリフとする怪女「AG」、旧上福岡市開発公社理事の安田博氏ら織りなす爛れ切った公共工事私物化人脈が、旧上福岡市を伏魔殿と化し長年にわたって壟断してきた事実を、市民は熟知している。

 島田氏は約7300票もの大差で武藤氏を破った。この数字は「上福岡市を殺した男、日本地図から消し去った市長」である武藤氏を、黒い人脈もろとも首長に迎えることに対し、新「ふじみ野市民」がノーを突きつけた結果なのだ。

 旧上福岡市の「闇」?、怪女?、伏魔殿?、なんじゃそれりゃ?元の上福岡市市長というのはよっぽど問題のある御仁だったのであろうか?

 あくまでの私の推測だが、島田市長は財政の健全化を急ぐあまり、人員削減や業務の外部委託を進め、肝心の「安全性」などをないがしろにしてしまったのではないか。
 今回の事故は今後の市政あるいは市長の進退にも(?)影響を与える事故であったことは間違いないだろう。

 それからWikipediaふじみ野市の項目にもあるが、合併にからんでこの地域の自治体の思惑は交錯しているようだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B5%E3%81%98%E3%81%BF%E9%87%8E%E5%B8%82

その後、改めて上福岡市大井町とで合併協議が進められ、1市1町での合併が行われることとなり、公募により最多得票を得たふじみ野市を市名とすることとした。しかし、市名の由来となった東武東上線ふじみ野駅はふじみ野市ではなく富士見市にあり、また名前が類似していて紛らわしいことから、富士見市はこの市名を使用することを批判している。にも拘らず、新市名にふじみ野市を採用したことは、同市が、将来的には2市2町合併の仕切り直しを検討しているからだともされる。なお、その他候補に挙がった市名は、「大福市」「栄市」「西さいたま市」などであった。

 こう眺めていると、前述の脅迫状は多少、政治的な匂いがしなくもない。真相はどうであれ、この事故の影響はは単にふじみ野市のみならず、この地域のあり方にも響きそうな状況である。


 ちなみにWikiで知ったが爆笑問題の太田さんは旧上福岡市(現ふじみ野市!)の出身ではないかっ!彼自身のコメントも聞きたいものだ。(しまったっ、サンジャポは見ないのだった!!)

*1:以前埼玉に藩はなかったと思っていたのだが、岩槻藩、川越藩、忍藩(おし:現行田)があったそうだ